日本語問題と解説
次の文章は、海水について述べています。この文章のすぐあとに続く内容として、もっとも適当なものはどれですか。
海水は塩分を含んでいるが、その濃度は深さによって異なっている。表面に近いほど太陽光によって蒸発するから塩分濃度が高く、深くなるにつれて塩分濃度が低くなっている。ところが、塩分濃度が高いほど海水の*比重は高くなるので表面水は沈んでいくはずだが、そうはならない。太陽光が当たる表面ほど温度が高く、海面下に行くにつれて温度が下がっているためである。水の比重は温度が高いほど小さく、塩分濃度が高いことによる比重の増大効果を上回っているのだ。
(池内了『私のエネルギー論』文藝春秋)
*比重 : 一定の量の水(4℃)の重さを1としたとき、同じ量の物質の重さがどれだけになるかを示す数値。
1. 海水の比重は、表層より深層の方が大きいので対流が起こる。
2. 海水の比重は、表層より深層の方が小さいので対流が起こる。
3. 海水の比重は、表層より深層の方が大きいので対流は起こらない。
4. 海水の比重は、表層より深層の方が小さいので対流は起こらない。
解答解説は↓↓
答えは、3番です。
≪ 解説 ≫
この問題の中の「比重」という理科のことばが分かる人は、解き易いかもしれません。選択肢は、四つとも「海水の比重は」で始まっています。選択肢の四つの要素は①表層と深層のどちらが大きいかと、②対流が起こるかどうか、の二つの組み合わせです。文中では、塩分濃度による比重の話しと温度による比重の話しが二つ含まれていることが分かりますか。最後の文の主語がついていないので、関係が見えにくいですが、言い換えると、「(温度による比重の差が)、塩分濃度による比重の差を上回っている」と分かれば、解けるのです。
整理すると、
① ⇒|温度による比重の差| > |塩分濃度による比重の差|
② 5~6行目、「水の比重は温度が高いほど小さく、」つまり表層の海水は軽く、深層が重い。
③ ⇒また、3行目、表面水は沈んでいくはず(対流が起こること)だが、そう はならない。⇒対流はおこらない。
というわけで、「3番 海水の比重は、表層より深層の方が大きいので対流は起こらない」が正解です。
コスモス
難解な問題で、日本人でも頭の中が
ごちゃごちゃになりそうです。
語彙がとても難しいので
行きつ戻りつ分かりにくいのですが
解説を読んで整理されました。
論理立てて
ひとつひとつ考えていくことが
大切ですよね。