第八回 日本語教師実戦講座 中級読解
中級程度の文章を読解するには、いろんな着目点が必要です。
例えば、速読では「いつ」「何が」「どうした」「原因はいくつある」などの情報 を探したり、精読では俯瞰的な構造を取り出し、付随する情報をそれらに肉付けしていくこと、二項の対立関係や因果関係や時間的流れの順番を明らかにした り・・・また、担当クラスのレベルやその時に鍛えたいものに注目して進めることも重要です。
今回は、課題をできるだけシンプルに条件を少なくして、お考えの通りに①速読 ②精読
③内容を図で確認する の作業をお願いしました。だから、基本的な項目がなされているかのチェックをしました。チェック後の感想は以下の通りです。
①速読では、情報の取り出し方がやや強引になり、正解が出た後の正解の根拠の場所や、どこの言葉や文から推測したかを学生に聞く、など大切なポイントが抜けてしまいました。
② 精読では、緻密に丁寧にされましたが、俯瞰的な視野での流れが置き忘れられ、残念でした。また、「そんなN」とはどんなNですか、や、ある固有名詞を他の 言葉に言い換えているもの説明させるなど、工夫して頂きたいと思いました。また、文中に挟まっている機能語や語意はどのタイミングで?・・・と悩まれたようでし た。
③内容を図で表す確認方法は、教室でよく用いられる読解の技法です。分かりやすく作れたと思います。
読解の授業は憂鬱、と仰る先生は多いです。理由は「学生が寝る」です。
よほどモチベーションが高くないと、淡々ときめ細かく進められたら眠くなるのは地球上とこも同じでしょうね。手前味噌で恐縮ですが、本校の学生は「会話の次に読解、作文が好き」という人が多いです。会話は分かりますが、読解・作文は我々も意外でした。
北野 幸子