読解問題
次の文章で筆者が最も言いたいことはどれですか。
教育という字は、「教」と「育」に分けることができる。そして、興味深いことは、育という語は、育てる、育つ、と他動詞にも自動詞にも用いられることである。
教育ということには、教育する側と、教育される側とがあり、教育する方から考えると、やはり自分が「教える」という行為に重点がおかれ、その後で、「育てる」ということが考えられるが、「育つ」となると、これはその本人の自発的な働きであるから、教育とは関係がない、あるいは考慮の外にある、ということになりがちである。
しかし、教育ということを深く考えるならば、そのベースに、教育される側に潜在している自ら「育つ」力ということを無視することはできないのではないだろうか。
(河合隼雄 『子どもと学校』 岩波書店)
1. 教育するときは「教えること」と「育てる」ことを分けて考えるべきだ。
2. 教育とは「教える」ことであり、「教える」ことに重点を置くべきだ。
3. 教育するうえでは「教える」ことより「育てる」ことに重点を置くべきだ。
4. 教育を考えるときは、教育される側の「育つ」力を無視することはできない。
解答解説は↓↓
正解は、4番です。
留学生の皆さんは、とても簡単にこの問題が解けたのではないでしょうか。この問題は、以前、関西学院大学の試験にも採用された文を使っています。典型的な意見文の述べ方の形をとっています。まず、設問は「最も言いたいこと」を聞いています。最も言いたいこと、つまりわざわざこの文を書いて言いたかった結論ということなので、文の最終部分に注目して簡単に解いた人も多いと思います。今回は標準的な形で述べているため、それが正解ですが、現在の留学試験はやや難度が上がり、文の中央部分に論点表示文(「しかし、本当に…だろうか」など)の形で考えを表して結論を消してしまっているものもあるので、注意してください。
この文は、2段落目の最後、「がちである」を書き、社会一般の現実を表示し、3段落目「しかし」から文末は「ではないだろうか」と、非常に結論を分かりやすく表示していることが分かります。
今回は、文の内容の説明はしませんでしたが、このように論のフォームから推察して解く技術について解説しました。
Dang Cong Duoc
練習が大好きですので出来ればこういう練習するための問題集を受け取りたいです。