第10回 実践講座 上級読解
上級読解の模擬授業をしていただきました。同じシリーズの総合教科書を使ったので、
この上級読解も基本は中級読解と同じです。
今回も、「速読」「精読」「図でまとめる」をしていただきました。
「速読」は中級演習の時の注意がよく守られていて、答えを選んだ根拠部分を明らかにすることができていました。また、根拠となる箇所を問題文のキーワードから導けていて、とても上達されていたのがわかりました。
「精読」は、板書を適宜使うなど技術的な向上がありましたが、まだやはり、「前から順番に一文ずつ丁寧に」で、学習者の集中力(現実)と離れてしまいました。ぐんぐん引き込んで理解させるにはどうすればいいか、これが一番厄介なところでしょう。上級読解も筆者の意見が入れられた論説文が多いですが、主観的な表現が使われていない場合は筆者の立場や本音を見つけるのに苦労します。全体の構成や、一方のデメリットだけに触れていることなどを手掛かりとして探す必要もあります。比較的形が決まっている説明文は、読解しやすいんですが、たとえば「上級で学ぶ日本語」の本文などは、起きたことが順番に述べられていないものがあったり、学習者の理解を確認するポイントによく気を付けないと、意外に文意が取れていないことがわかります。
図で理解を整理するのは、わかりやすいものができていました。ただ、例えばエネルギー源ごとにメリットデメリットを整理する場合は上がメリット下がデメリットに揃えたり、時間の経過は過去→現在、因果関係も原因→結果というふうに線と箱だけでなく、→(矢印の向き)に気を付けてほしいと思います。
最後に、「戦後の日本経済、高度経済成長期」に関する三つの文を宿題としてお渡ししました。どれが中級、中上級、上級の読解文か、どうしてそう判断したかなど考えて来ていただくためです。